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Story
クリエイティブは、いつも無常
一連のセミナーパンフレット制作は、従来の制作会社との一騎打ちだった。それまでのデザインはあくまでも初期段階のフェーズに沿ったものであり、これからの新しいセカンドフェーズとしては厳しいかもしれない、と思った。情報を極限までそぎ落とし、本当に必要な情報のみを濃縮してシンプルに整理整頓する方が新世代の経営者の目には新鮮に映るのではないか——。そんな提案が受け入れられたのだ。そこには、端的で明確なメッセージと期待できる費用対効果が提示される必要があった。そこから我々制作チームは、日本経済について、経営について、企業のあり方について真剣に論議し、ある程度のプロトタイプを構築した。揺るがないロジックと、それを正確に可視化できるデザインが必要だった。デザインは装飾ではない。むしろ逆だ。必要なのは、商談と同じスピード感覚だ、わかりやすさ、強さだ。必要なことを極力最短で伝える論理的な思考力だ。最大の「商品」は、何だ? そうだ、講師陣だ。それをラシュモア山のように打ち出していこう。僕はこのデザインで、勝負した。
数日後、我々は勝利を手にした。後日、担当者さまからは「比べものにならないぐらい」と聞いた。そのとき、僕は時代の変わり目をはっきりと感じることができた。いつも無常なのだ、クリエイティブは。

担当業務/
クリエイティブディレクション、プランニング、編集、デザイン、コピーライティング
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